今回紹介するミステリー小説はこちらの作品になります。
この『あなたへの挑戦状』は阿津川辰海さんと射線堂有紀さんの競作が読めるミステリー作品になります。
競作と言っても登場人物や事件が起こる現場が同じってわけではなく完全に別の話が2篇入っていますね。
では具体的に感想をお話ししていきます。
まずは阿津川辰海さん「水槽城の殺人」ですね。
こちらは巻頭に建物の見取り図が載っています。
そうです。そういうことです。ミステリーといえばの何かしらの仕掛けがある建物ってことですね。
一風変わった建物で起きる殺人事件。この手のミステリーは結構分厚めの小説のイメージなのですが、読みやすい長さになっていました。
あとは登場人物の名前がすごくひっかかる作品でしたね。
勝男とか鮎美とか鯖江とかサカナ関連が多いのです。
あとは事件を解くための情報は全て開示される読者でも解けるミステリーですね。
もちろん私の力では犯人を特定することはできませんでしたが、ミステリーマニアでは解けるのかもしれないです。
続きまして、斜線堂有紀さん「ありふれた眠り」。
こちらは先ほどの「水槽城の殺人」とは全く系統が違うどちらかというとドラマチックなストーリー重視の作品って感じでした。
誰が殺人を犯したのかを突き止めるのはもちろん、罪を犯したその背景、理由も考えさせられるものがあり、感情移入してしまう感じかな。
個人的にはこのタイプの小説は嫌いじゃないですね。
どちらの作品も読みやすくミステリー初心者におすすめかなと思いました。
ごりごりのミステリー好きには物足りないかもしれませんが。
あと、2作品の後にこの本が作られるきっかけや作者の日記が記載されているのですが、そこもしっかりと読むことをお勧めします。
このあなたへの挑戦状の意味を知るとミステリー作家って天才かよって思っちゃうこと間違いなしですよ。
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あらすじ
☆☆この挑戦、ネタバレ厳禁☆☆
ミステリランキングを席巻した二人による
驚愕と論理に満ちた世界へようこそ。
阿津川辰海が描く「奇怪な城の密室殺人」
VS.
斜線堂有紀が描く「死体と眠る犯人」
ミステリ新世代の圧倒的才能が、いま衝突する。
本書には、あなたへの挑戦状が含まれています。
『紅蓮館の殺人』『透明人間は密室に潜む』の阿津川辰海と『楽園とは探偵の不在なり』『廃遊園地の殺人』の斜線堂有紀が「あなたへの挑戦状」というテーマで小説を書いて競い合う!
加えて、競作過程を描いたネタバレ満載の「競作執筆日記」と「ミニ対談」を収録。
阿津川辰海「水槽城の殺人」
――巨大な水槽のある円柱型の建物「水槽城」で怪死事件が発生。犯行当時、水槽で現場は隔離されていた。
斜線堂有紀「ありふれた眠り」
――犯人は犯行後、死体の横で一晩眠っていた。才能あふれる妹を持つ凡人の兄は、とある秘密を妹に話せずにいた。