もうそろそろ4月になり、新たなライフステージに移っていく方が多くいらっしゃると思います。
今回は、そんなライフステージの変化のうち保育園に早くから入園する方に向けて、保育園の保育料算定について解説させていただきます。
保育料の無償化について
令和元年10月より幼児教育・保育の無償化が始まりました。
これは、幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する3歳から5歳児クラスのこどもたち、
住民税非課税世帯の0歳から2歳児クラスまでのこどもたちの利用料が無料になります。
なので、3歳以降に預ける方や所得がない方は基本的に保育料はかかりませんね。
※おやつや給食、その他のサービス代等はかかります。
保育料の決まり方
保育料の算定方法は自治体ごとに決めているのですが、金額に違いはあれど基本的には同じルールで算定されています。
その基本的なルールとは、世帯に所属している人の住民税(個人市区町村民税の所得割)の合計で判断されるということです。
収入のある世帯員が多いと保育料が高くなってしまうということですね。
※認可外保育園の料金は考え方が違うようなので、直接金額を確認するしかありません。
※2人目は保育料半額、3人目は無料などの減額処置があります。
住民税の計算方法とは?
住民税の計算方法はこのような式で決まります。
◾️住民税=①市区町村民税所得割+②都道府県税所得割+③市区町村民税均等割+④都道府県税均等割
先ほど保育料の決まり方で記載したとおりこの住民税のうち、世帯員の①市区町村民税所得割の金額で保育料が決まるのですが、①市区町村民税所得割には税額控除前の所得割と税額控除後の所得割があります。
ややこしいですよね。
この2つは名前の通り、税額控除前なのか後なのからの違いになるのですが、保育料の算定では一般的に税額控除前の市区町村民税の所得割が使われます。
では①市区町村民税所得割の計算方法についてですが、以下の式で計算されます。
※一部自治体では計算が異なる場合があります。
①市区町村民税所得割=(所得金額−所得控除)×6%
結果として、保育料は収入とそこから税金を免除する控除で決まるということになりますね。
よく保育料を他人に伝えてしまうと年収がバレてしまうというのはこういうことなんですね。
年収による所得、社会保険料の目安
保育料は市区町村民税所得割は所得金額と所得控除で決まるということがご理解いただけたかと思いますが、細かい数字はよくわからないという方もいらっしゃると思います。
ということで、年収による所得および社会保険料の目安をご紹介いたします。
この二つは給与収入に基づいて計算されるものになりますね。
他にも住民税に影響を与えるものが多数ありますが、人によって異なるものになりますので、全員に必ず該当するこの2つにピックアップして記載いたします。
◾️収入別所得、社会保険料および市区町村民税所得割
収入 | 所得 | 社会保険料(所得控除) | 市区町村民税所得割 |
---|---|---|---|
350万円 | 237万円 | 50万円 | 8.64万円 |
400万円 | 276万円 | 57万円 | 10.56万円 |
450万円 | 316万円 | 65万円 | 12.48万円 |
500万円 | 356万円 | 72万円 | 14.46万円 |
550万円 | 396万円 | 79万円 | 16.44万円 |
600万円 | 436万円 | 86万円 | 18.42万円 |
650万円 | 476万円 | 93万円 | 20.4万円 |
700万円 | 520万円 | 101万円 | 22.56万円 |
750万円 | 565万円 | 108万円 | 24.84万円 |
800万円 | 610万円 | 113万円 | 27.24万円 |
850万円 | 655万円 | 116万円 | 29.76万円 |
900万円 | 705万円 | 118万円 | 32.64万円 |
950万円 | 755万円 | 121万円 | 35.46万円 |
1,000万円 | 805万円 | 123万円 | 38.34万円 |
※令和5年時点の制度になります。
※社会保険料控除以外がある場合、市区町村民税所得割は記載の限りではありません。
ではここからは個別のケースをご紹介いたします。
個別ケースの保育料への影響
住宅ローン控除で保育料はさがる?
住宅ローン控除は所得税および住民税の減額効果がありますが、残念ながら住宅ローン控除は税額控除に該当するため保育料が下がることはありません。
ふるさと納税で保育料は下がる?
今ではだいぶ浸透したふるさと納税ですが、ふるさと納税をすると住民税の金額が下がりますよね。
これによる保育料の影響ですが、残念ながらふるさと納税は税額控除に該当するため保育料は下がりません。
副業による影響は?
ダブルワークや転売、ブログやYouTubeなどなど、今ではいろいろな方法で収入を増やすことができますよね。
これによる保育料への影響ですが、保育料への影響はあります。
基本的に住民税を算出する際の収入はすべての収入が対象になるからです。
なので、保育料を払うために副業を始めたりすると、想定外に保育料が上がってしまう可能性もあります。
株式の配当や売買益による影響は?
株式の配当金や売却益による影響ですが、これは確定申告をするかしないかによって変わります。
ほとんどの人は証券口座を開設する際に特定口座・源泉徴収ありとしているかと思います。
この特定口座・源泉徴収ありというのは、確定申告をしなくても売却益・配当金が入ったタイミングで税金を引いておく仕組みになるので、確定申告が不要になります。
このケースに該当する人は株式の売買益や配当金がいくらあっても保育料に影響は与えませんね。
では、確定申告をするケースについてですが、こんなケースがあります。
①株式譲渡でマイナスになってしまった。
→確定申告でマイナス分を申告すると、翌年度に株式利益が発生すると損益通算できるため。
②複数の証券口座があり損益通算をしたい。
③口座開設時に源泉徴収なしにしている
※他の所得があり、確定申告義務がある場合
こんな感じですね。
上記以外にも確定申告するケースは多々ありますが、会社勤めでちょっと株式取引しているって方であれば確定申告は不要と思っていただければ良いかと思います。(証券口座が特定口座・源泉徴収ありの場合)
アメリカ株による影響は?
最近取引している人が多いアメリカ株を取引している場合ですね。
アメリカ株の取引は大きく2つのケースに分けることができます。
1つ目はダウやS&Pなどの指数に連動している投資信託を円で購入しているケース。
このケースは株式配当や譲渡益による影響で記載した株式取引と同じケースになりますので、一般的には特に保育料への影響はないかと思います。
2つめはドル建てで直接アメリカ株やETFなどを購入しているケース。
このケースの場合、配当金をもらうと日本とアメリカで二重課税になり、二重課税分を還付してもらうためには確定申告が必要になります。
つまり、保育料への影響があるということになります。
二重課税分の還付がいらないってことであれば確定申告しなくても良いので保育料への影響はありませんが、貰えるものが貰えないケースが発生する可能性がありますね。
FXによる影響は?
FX(為替取引)で所得20万を超えると確定申告が必要になります。
FXでは特定口座・源泉徴収ありなどの確定申告を不要にする仕組みはないので、20万円を超えたら確定申告が必須だと思っておけば良いですね。
FXによる所得も住民税が発生しますのでらもちろん保育料にも影響があります。
保育料を下げる方法
ここまではその他所得やふるさと納税が保育料に影響を与えるかをご紹介しましたが、ここからは何をしたら保育料が下がるのかをご紹介いたします。
生命保険に入る
生命保険に入ると掛金が生命保険料控除という税金を計算する前の所得控除に加算されます。
そのため、市区町村民税所得割を算出する時に影響を与えるので、保育料の減額に繋がります。
ただ、生命保険料控除は掛金が全額所得控除になるわけではなく、また上限もあるため、保育料を下げるためだけに生命保険に入るのは結果として出費の方が多くなるかと思います。
iDeCo、付加年収、国民年金基金に加入する
iDeCo、付加年収、国民年金基金の掛け金については基本的に全額が所得控除である社会保険料控除になります。
掛金の上限は決められていますが、生命保険料控除よりかはかなりコスパが良い控除なので、もし保育料の減額を狙うのとあれば、まず初めに手を出すべき控除ですね。
医療費控除を適用する
1年間で支払った医療費が10万円または所得金額の5%を超えていれば所得控除である医療費控除が適用できます。
病院等の領収書等を集めておく必要がありますが、病院によくかかる人は絶対にやった方が良いですね。
ただ、こちらも保育料を下げるためにわざわざ病院に行くというのは選択肢としてないかと思いますので、狙ってやるものではないですね。
まとめ
今回は保育料の計算方法から保育料に影響を与えるものについてご紹介しました。
保育料って思った以上に高いので、できるなら安くしたいものですよね。
この記事を参考に皆さんも保育料の減額を目指したり、今後保育園に入る方はこのぐらいかかるんだなって試算のための情報にしていただければです。