「君の膵臓をたべたい」でおなじみの住野よるさんが描く、もう一つの青春群像劇『か「」く「」し「」ご「」と「』。 読み終えた瞬間、心にぽっと火が灯るような、そんな優しさと温かさに満ちた一冊でした。
価格:1760円 |
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■ どこか不思議で、でも身近な「かくしごと」
本作の舞台は、とある高校に通う仲良し5人組。 でも、彼らにはそれぞれ少し変わった「かくしごと」があります。
- 京:人の頭上に「、」「。」「!」「?」などの記号が見える。
- ミッキー:相手の心の“バー”が見え、それがプラスやマイナスに傾くことで感情の変化がわかる。
- パラ:心拍数が数値で見える。
- ヅカ:感情が記号として現れる(喜:スペード/怒:ダイヤ/哀:クローバー/楽:ハート)。
- エル:恋心が矢印になって見える。
ただし、これらの力は“誰にも知られていないし、自分のは見えない”。 つまり、自分には使えず、他人には気づかれていない力という、何とも不思議で微妙な能力なんです。
■ 視点が変わるたびに見える、新たな感情の重なり
物語は、それぞれの5人の視点から語られるオムニバス形式。 各章のタイトルには、それぞれの能力を象徴する“記号”が入っており、章を追うごとに少しずつ彼らの「かくしごと」と感情の交差が浮き彫りになっていきます。
能力の存在がドラマの軸ではあるものの、メインは感情の揺れ動き。 淡い恋心、嫉妬、憧れ、友情への戸惑い…。 そういった高校生特有の「なんでかよくわからないけど、気になってしまう」気持ちが丁寧に描かれていて、読んでいるこちらも胸がきゅっとなってしまう場面がたくさん。
■ 読みやすさと、にやけてしまう青春描写
住野よるさんの文章は、今回も抜群に読みやすく、どの章もテンポよく読み進めることができました。 何より、5人の距離感がたまらなく絶妙なんです。 青春まっさかりな感じというより、ちょっと控えめで不器用な5人が、 それぞれの想いを抱えながら静かに変わっていく——そんな姿が印象的でした。
特に、ふとした言葉や仕草の裏にある「本音」を能力によって垣間見ることができる設定が面白く、 「もし高校時代にこういう力があったら…」とつい想像してしまいました。
■ 実写映画・コミカライズも展開中!
この作品は小説だけでなく、実写映画化・漫画化もされています。 映画では、内気な京がミッキーに惹かれながらも、ぐるぐると悩み、葛藤し、それでも仲間と一歩ずつ前に進んでいく姿が丁寧に描かれています。
映画の詳細はこちらから: https://movies.shochiku.co.jp/eigakakushigoto/
■ 感覚を言語化したような能力たち
読後にふと思ったのは、5人が持っていた“かくしごと”は、どれも実は高校生なら誰しもが心の中に持っていたような感覚なんじゃないかということ。
・相手の感情の変化を敏感に察知したり、 ・恋心がどこを向いているのか気になったり、 ・意味のない言葉や雰囲気の裏にある感情を探ったり…
それらをあえて「能力」という形で描いたことが、本作の最大の魅力なのかもしれません。 まるで、「あのときの自分」をもう一度思い出させてくれるような、そんな作品でした。
■ まとめ|心にそっと寄り添う青春小説
『か「」く「」し「」ご「」と「』は、奇抜な能力を持ちながらも、決して派手な展開に頼らず、 等身大の高校生の感情を繊細に描いた青春物語。 読み終わったとき、「ああ、また高校時代に戻りたいな」と思ってしまうのは、きっと自分だけじゃないはずです。
甘酸っぱい青春小説が好きな人、心がほっこりする物語が読みたい人には、ぜひ手に取ってみてほしい一冊です。
価格:1760円 |
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